競馬は逃げ・先行馬が圧倒的に有利だということはご存知でしょうか?
人気薄の追い込み馬が激走することもありますが、波乱の立役者となるのは逃げ・先行馬であることが圧倒的に多いのです。
なぜ競馬では逃げ・先行馬が有利になるのか。ここではその理由と、本当にそうなのかということについて言及していこうと思います。
競馬は逃げ・先行馬が有利なのか?
競馬が逃げ・先行有利というのは、過去のデータからも明らかです。
脚質 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 17.7% | 30.1% | 39.4% | 192% | 137% |
先行 | 13.3% | 26.3% | 37.5% | 115% | 112% |
差し | 5.1% | 11.0% | 18.3% | 57% | 66% |
追込 | 1.6% | 3.6% | 6.7% | 23% | 29% |
逃げた馬の単勝だけを買えば、ほぼ賭けた金額の倍になって返ってきたということになります。
短期間のデータならたまたま偏ったという可能性もありますが、これは約3年分のデータでサンプル数も十分にあり、かなり信用度の高いデータになります。
もちろん、競馬場や馬場状態によっては、一時的に逃げ・先行馬が壊滅するときもあります。ただ、そんな状態は長く続くことはなく、全体でみれば確実に逃げ・先行馬が有利になります。
競馬で逃げ・先行馬が有利な理由
競馬で逃げ・先行馬が有利なのは、主に3つの理由が考えられます。
- 逃げ馬は不利を受けることが少ない
- 馬群で揉まれないので気分よく走れる
- 人気薄はマークされにくい
逃げ・先行馬は不利を受けることが少ない
目に見えてわかる理由が、先頭を走っている逃げ馬は、前が壁になって進路がなくなるといった不利を受けるリスクがないことです。
競馬は最大18頭立てで行われ、すべての陣営が勝利を目指しています。騎手はなるべく上の着順を目指すために、道中から直線まで自分たちがいかに有利に走れるかを考え、ロスを最小限に抑えようとします。
なるべく距離ロスをなくすなら内を通るべきですが、周りも同じように考えているので馬群が密集し、後ろにいる馬は走れるスペースがなくなるリスクがありますね。
スペースを確保するために外を回せば、それだけ距離ロスが生じてしまうので、やはり不利になります。
少頭数のレースであっても、内で馬群が密集して進路がなくなり脚を余すシーンも多々見受けられます。
また、開催が進むと馬場の内側が荒れてくることがありますが、逃げ・先行馬なら4コーナーで内を避けるよう進路を取れば、直線で馬場のいいところを通ることができます。
その場合、後ろにいる馬は距離ロスを抑えるために馬場の悪い内を通るか、さらに外を回して大幅な距離ロスを覚悟するかの選択を強いられます。
こういった不利は前にいるほど受けづらくなるのは当然ですから、逃げ・先行馬は持てる力を最大限に発揮しやすくなり、それが好結果に繋がっているということです。
逃げ・先行馬が不利になる馬場状態・ペースになることはあっても、それ以上に不利を受けない可能性のほうが多いので、逃げ・先行馬有利は不変の法則となります。
逃げ・先行馬はストレスを受けにくい
競走馬は慢性的な胃潰瘍と言われるほど、ストレスに敏感な生き物です。
そんな繊細な馬が周りをびっしりと囲まれて走っていれば、ストレスを感じるのは当然の結果と言えるでしょう。
少頭数の新馬戦で圧倒的なパフォーマンスを見せた馬が、次走で馬群に入るとまったく走れなかった、というシーンも多いですよね。
実際のところ、どれだけストレスを感じているのかは馬に聞いてみないとわかりませんが、逃げ・先行馬はこういったストレスを受けるリスクが減ります。
とくに単騎逃げを打っている馬は、気分よく走ることができているでしょう。馬は本来、走ることがとても好きだとも言われています。
近走でストレスを受けて凡走していた馬が、突然逃げたときにストレスから解放されて大波乱を演出することは珍しくないですね。
歴史に名を残すような名馬なら別ですが、ほとんどの場合で出走している馬同士の力差は思うほど大きくはありません。
であれば、結果を左右するのはいかに気分よく走れるか、いかに不利を受けずに走れるかという部分が大きくなります。
人気薄はマークされにくい
競馬ではレースの流れがあるので、騎手が有力馬はどの位置にいてどう動くかをマークするのは当然のことです。
つまり、最初から人気のない馬の動きを気にする騎手はおらず、ノーマークで走ることができます。
ノーマークで気分よく走っている人気薄の逃げ馬が、思った以上に手応えよく直線を迎えたときに気付いても時すでに遅し。
G1でも天皇賞(春)のイングランディーレ・エリザベス女王杯のクィーンスプマンテ(2着も大穴テイエムプリキュア)・3着に残って2,000万馬券を演出したミナレットなど、人気薄の逃げ馬が大波乱を起こしています。
こういったことが起こるのも、馬同士の力差が思ったほどなく、持てる力を発揮しやすいのが逃げ・先行馬だからということですね。
前走で逃げ・先行した馬を狙えば儲かるのか?
競馬は逃げ・先行馬が有利であることは理解できたかと思います。では、次のレースで逃げ・先行馬を買うために、前走で逃げ・先行した馬を狙えば儲かるのでしょうか?
答えは、まったく儲かりません。
そんな簡単に勝てるほど、競馬は甘くないんですね。脚質別の成績と同じ期間の、前走での脚質別成績をまとめました。
脚質 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 9.1% | 17.9% | 25.3% | 71% | 70% |
先行 | 10.3% | 19.8% | 28.7% | 79% | 77% |
差し | 7.0% | 14.3% | 21.9% | 74% | 76% |
追込 | 3.9% | 8.1% | 12.9% | 64% | 65% |
前走で逃げ・先行した馬の成績は平凡そのもの。これも偶然こうなっているわけではなく、そうなる理由があります。
逃げ・先行で好走した馬は恵まれた可能性が高い
逃げ・先行馬が有利ということは、そのレースで逃げ・先行した馬は「恵まれた」結果、好走した可能性が高くなります。また、次のレースでもストレスを感じずに走れるかどうかわかりません。
つまり、逃げ・先行で結果を残した次のレースでふたたび恵まれるとは限らず、次走でパフォーマンスを落とす可能性が高いんですね。また、前走好走したことで人気にもなり、次走も好走しても回収率が上がりにくくなります。
先行する馬を見極めるポイント
これらのことから、競馬はいつも逃げている・先行している馬を買うと儲かるのではなく、今回逃げる・先行する馬を買えば儲かるということです。
そのため、今回どの馬が逃げ・先行するかを予想する精度が上がれば上がるほど、勝てるチャンスが大きくなりますね。
百発百中でできることではないですが、少しでも精度を高めるためのポイントをいくつか紹介していきます。
前走出遅れた逃げ・先行馬
もっともわかりやすいのは、いつもは逃げたり先行する馬が前走出遅れたとき。後方のまま力を出せずに惨敗するケースはよくあります。
前走でストレスを感じた馬が、次走でストレスなく走れるときはパフォーマンスが一気に上昇します。なので、こういった馬は警戒しておく必要がありますね。
ただ、競馬新聞にもコーナーの通過順は記載されていることが多いので、誰にでも知られやすいことはデメリットになります。
わかりやすいがゆえにオッズに反映される可能性もあるし、また出遅れるリスクを考えると、人気になっているようなら過信はしないほうがいいでしょう。
前走よりペースが緩くなるとき
競走馬は今回走る距離を知らないので、前走の記憶を頼りに走ると言われています。そのため、騎手が制御しなければ、前走と同じようにゲートを出ようとします。
例えば、1600mのレースで1頭だけ前走1200m、他は前走1600mだったとします。
すると、前走1200mだった馬はゲートが開いた瞬間、前走と同じスピードで走ろうとするので、他の馬より相対的に強いダッシュ力を見せます。
その結果、前走短い距離を走っている馬は、自然と先行するケースがあるのです。
距離以外にも、前走より格の低いレースに出走する場合、馬にとっては緩い流れに感じる可能性があります。
同じ距離でもG1とG3なら、道中のペースはG3のほうが遅くなることが多く、相手関係も楽になってストレスを感じにくくなるでしょう。
小回りから広いコースに代わることも、道中のペースが緩くなる可能性は上がりますね。
先行しやすい騎手が騎乗するとき
騎手にもそれぞれの性格があり、先行しやすい騎手とそうでない騎手はいます。
2019年のデータですが、騎乗数の多い騎手で逃げた回数と割合をまとめたので、ご覧になりたい方は表を見るボタンを押してください。(長いです)
表を見る休み明けの馬
休み明けの馬は、心身ともにリフレッシュして前向きさが増すと言われます。
休み明けの定義として、前走から3ヶ月(13週)以上の間隔が空いている馬を抽出したところ、前走4角6番手以降だった馬は3,760頭。
その中で今回4角5番手以内に先行したのは、1,058頭と約28%でした。
一方、12週以内で前走4角6番手以降だった馬は19,954頭。そのうち、今回4角5番手以内だった馬は5,529頭で比率は約27%。
ほとんど差はなかったですね。
しかし、競馬で勝つために重要なのは回収率です。
回収率で見ると、休み明けのほうが10%も高い数値になっています。つまり、休み明けの馬は人気を落とすがリフレッシュして走りやすい傾向にあるので、単純に戦術として狙い目になるということです!(棚からぼたもちデータ)
間隔 | 前走4角6番手以降 | 今回4角5番手以内 | 先行割合 | 複勝回収率 |
13週以上 | 3,760頭 | 1,058頭 | 28.14% | 134% |
12週以内 | 19,954頭 | 5,529頭 | 27.71% | 124% |
まとめ
競馬で逃げ・先行馬が有利になるのは間違いありません。
そういった馬を徹底的に狙えば、馬券の収支も大きく変わってくる可能性もあるでしょう。ただ、そう簡単にはいきませんけどね。
短期的には逃げ・先行馬が不利になる状態にもなりますが、そのときは無理に勝負をする必要はありません。
競馬で勝つためには、長い目で見ることが重要です。

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