大阪府泉佐野市の行き過ぎた返礼品の問題で、総務省が各自治体へ通知を行いました。
その通知には、返礼品の返戻割合を寄付額の3割以下に抑えることと書かれており、福島県の広野町では通知に従い返戻割合を抑えることに。
ですが、総務省からの通知に従った広野町を待っていたのは、寄付額がこれまでに比べて激減するという現実でした。
ふるさと納税の返礼割合を抑えた福島県広野町の末路
福島県広野町では、原発事故後の風評被害払拭のため、返礼品として農薬の量を減らした特別栽培米を用意し、2015年は3万円の寄付で米60キロと味噌1キロが受けとれました。
しかし、総務省から返礼割合を寄付額の3割以下にするよう通知を受け、それに従ったところ、以前に比べて寄付額が20分の1にまで激減したそうです。
2019年度は1万円で20キロの米(返戻率52%)を用意し、寄付を募集した昨年7~9月だけで1571件が集まったそう。
その後、返礼品はそのまま(米20キロ)、寄付額を17,000円とすることで、返礼割合を3割以下に抑えることにしました。
すると…
返戻率が3割以下となった10~12月に集まった寄付は、なんと76件まで激減。
たまたま減少したという可能性もありますが、今年に入っても寄付は低調に推移しているようなので、間違いなく返礼割合を下げたことが大きく影響しているでしょう。
これで良いのかふるさと納税?!
ルールを守った正直者が馬鹿をみる。今回の件は、まさしくこの言葉がピッタリ当てはまる出来事だったのではないでしょうか?
広野町の寄付金の用途は、米づくり農家の応援事業に充てられているそうです。
しかし、寄付をしている人の多くは事業の応援ではなく、返礼品のお得さで寄付をしていたということがわかります。
総務省が何度も通達しているルールを守らず好き勝手やっている自治体に寄付が集まり、ルールを守った自治体の寄付が激減する。
子供にはルールを守りましょうと教えるのに、それを教えている大人が歪んだ現実を作り上げています。
ふるさと納税…こんなんで良いのか?
ルールを守らないのはそれを罰するための法律がないからですよね。
「罰則がなければルールは守らない」を、個人どころか自治体がやっていることが恐ろしいです。
学則で髪を染めるのを禁止しているところは多いと思います。
なぜ髪を染めるのかを合理的に説明できる人はいないと思いますが、先生は学生に対して「学則で決められているからダメなものはダメ!」と言います。
禁止する理由すら曖昧なものをルールだからダメと押し付ける日本人が、大人になれば好き勝手にやっているとか、一同大爆笑じゃないでしょうか。
ふるさと納税で返礼割合を3割以下に抑えるというルールは、高額な返礼品はふるさと納税の本来の意図に反するという理由があります。
某市長は「これまで某市を選び、寄付をしてくださった約300万人の”納税者”に失礼だ」と発言していますが、そのなかに某市の取り組みに賛同し、納税した人がどれだけいるのか。
おそらく、299.999万人くらいは返礼品が欲しいが為に使用したと思いますね。
一度、某市も返戻率を3割以下に抑えてどれくらい「某市の取り組み」に賛同してくれる人がいるのか試してもらいたいものです。
返礼品は廃止してしまえ
そもそも、寄付とは見返りを求めない行為ですから、返礼品なんて廃止すれば良いんです。返礼割合を3割以下としても、何で基準が3割なん?と思いますしね。
返礼品がなければ寄付が集まらない、だから地域の活性化のためにも返礼品に規制をするべきではないという意見は、短絡的じゃないでしょうか。
規制がなく返礼品の過剰競争が進めば、回りまわって自治体の首を絞めることになりかねません。
短期的には寄付金が集まって潤うかもしれませんが、それが根本的な解決につながるとは思えないですね。
こんな競争が起こって、日本に未来はあるのでしょうか?
※ 妄想です。
まとめ
散々言っておいて、僕にはどうするのが最善の策なのかはわかりません。しかし、ふるさと納税の制度が歪んでいることだけは間違いないと思っています。
日本には寄付をする習慣がないことが大きな原因のひとつなので、時間はかかっても寄付をする習慣を小さいころから根付かせる方法を考えるのが良いんじゃないでしょうか。
おしまい。
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