子供にお金の教育をするのって難しいですよね。
僕には子供はいませんが、事情により今は実家で甥っ子が一緒に暮らしています。僕が実家に戻ったときのは、甥っ子が中学3年生だったとき。
何かとお金が欲しいと思う年頃ですが、今から好き勝手に使っていると、社会に出たとき苦労します。とはいえ、使って失敗することも大事な経験で、その塩梅を教えるのは難しい。
お金の使い方に関しては、趣味嗜好が人それぞれ違うので、第三者が口出しするのはあまり好ましくないです。
しかし、お金の知識というものは共通しているので、それを早くから教えることで将来の役に立つはず。そう思って僕は、甥っ子にお金の知識を伝えておこうと思いました。
なんでお前が?と思われそうですが、僕が実家に戻ったのも親がお金で少し苦労していたことが原因で、このままだと甥っ子もお金について知らないままになる可能性が高いと思ったからです。
絶対に知っておきたい「複利の力」
お金の使い方も重要ですが、それよりも僕が甥っ子に教えたいことは「複利」についてです。
複利とは、預けた(運用した)お金についた利息をそのまま元本に上乗せし、翌年も同じように預けて運用することを言います。
例えば、10%の複利でお金を運用すると、このようになります。
年数 | 元本 | 利息 |
---|---|---|
1年目 | 10,000円 | 1,000円 |
2年目 | 11,000円 | 1,100円 |
3年目 | 12,100円 | 1,210円 |
2年目には1年目の利息が、3年目には2年目の利息が上乗せされることで、毎年元本と利息が増えていくのがわかりますね。
このような運用を繰り返すことで次第に元本が増える速度が増していき、数十年後にはとても大きなものになります。
年数 | 元本 | 利息 |
---|---|---|
1年目 | 10,000円 | 1,000円 |
10年目 | 23,579円 | 2,357円 |
20年目 | 61,159円 | 6,115円 |
10%の複利運用なら何もしなくても10年後には約2倍に、10年後からの10年間では約3倍になっています。
最初の10年間とその後の10年間では、お金が増える速度が変わっていますね。これが、雪だるま式に資産が増えていく複利の力。
資本主義社会の世の中で必ず知っておきたい、そして子供に伝えたい真理です。
格差が広がる原因
世界的にみても、お金持ちと庶民の格差は広がる一方だと言われています。
フランスの経済学者トマ・ピケティは、著書21世紀の資本で r>g が格差の拡がる原因だと述べています。
- r…資本収益率
- g…経済成長率
資本収益率とは、株式や不動産などから得られる収益。経済成長率は、働いて得られる収益を指します。
つまり、r>g とは頑張って働いて得られる給料の昇給率よりも、資産運用して得られる収益率のほうが高いということ。
そのため、株式や不動産などで資産運用をしている人と、コツコツと預貯金だけしかしないだけの人では、徐々に格差が広がっていくのです。
子供のお金の教育
最初は多めに小遣いを渡し、まず少しでもいいから貯金して残しておき、残った金額でやりくりするようにと伝えていました。
しかし、なにかと誘惑の多い現代では、あっという間に毎月の小遣いを使い切ってしまうのが現実でしたね。
このまま小遣い(収入)をすべて使い切るクセが付いてしまうと、社会人になったときでも貯められない体質になってしまう心配があります。
一人暮らしでもすれば意識が変わるかもしれませんが、貯められない人はいつまで経っても貯められないのも事実。早いうちから習慣になるのに越したことはありません。
複利について子供、僕の場合は甥っ子に伝えても、まず意味がわからないでしょうね。おそらく、大人でも理解できる人はそう多くないかも。
ですから、僕は甥っ子に「複利運用を体験させる」ことを始めました。
名付けて、「欲しい!貯めたい!殖やしたい!資産形成大作戦!!」
資産形成大作戦!とは?
説明しよう。資産形成大作戦!とは、子供にお金がお金を生む仕組みを体験させ、お金は「稼ぐ、貯める」だけでなく、「殖やす」ことが大事なんだよと教えるものである!
この作戦を決行するにあたり、甥っ子にはお金がお金を生む仕組み(複利)や預貯金のメリット・デメリットを紙にまとめ、読んでおくように渡しました。
そして、小遣いを貰ったあとに僕にお金を預ければ、それに僕が利息をつけてお金が殖えていくようにします。
ただ、実際にお金を運用した場合、年率でもせいぜい5%くらいが無難なところで、これだと小遣いの一部だけではほとんど殖えないという問題があります。
そのため、複利の効果を実感させるには、現実なら詐欺レベルの高利率を設定する必要がありました。
具体的に言うと、月初に専用の貯金箱(ただの箱)に入っているお金の10%を利息とするようにしました。
本当は元本が変動するようにしたかったんですが、良い方法が浮かばず元本保証の月利10%です…実際にこんな話があったら、まず間違いなく詐欺確定ですね。
複利運用するとどうなる?
ただ、甥っ子にはこれがどれだけの効果があるのか想像できないと思うので、毎月500円ずつ貯めた場合の増え方を教えておきました。
その増え方はこのようになります。
月 | 元本 | 利息 | 残高 |
---|---|---|---|
4月 | 500円 | 50円 | 550円 |
5月 | 1,050円 | 105円 | 1,155円 |
6月 | 1,655円 | 165円 | 1,820円 |
7月 | 2,320円 | 232円 | 2,552円 |
8月 | 3,052円 | 305円 | 3,357円 |
9月 | 3,857円 | 385円 | 4,242円 |
10月 | 4,742円 | 474円 | 5,216円 |
11月 | 5,716円 | 571円 | 6,287円 |
12月 | 6,787円 | 678円 | 7,465円 |
1月 | 7,965円 | 796円 | 8,761円 |
2月 | 9,261円 | 926円 | 10,187円 |
3月 | 10,687円 | 1,068円 | 11,755円 |
500円を1年間貯めるだけなら6,000円にしかなりませんが、(詐欺まがいの)複利運用をすると約12,000円と倍近くなることがわかります。
これを教えたのが高2の4月なので、甥っ子には高校を卒業するまで継続するとどうなるか、そのときまでの結果を見せています。
その場合、なんと500円×24ヶ月=12,000円の元本が、約48,000円にもなるのです。高3の3月には元本が約44,000円にまで増えているので、利息だけでも4,400円!
そ、それを払うためのお金を貯めておかなければ…(頑張れ、俺!)
お金がお金を生む仕組みを利用すれば、これだけ違いが出るということ。
実際には有りえないリターンですが、これだけ殖えるとわかっていれば、甥っ子も小遣いの一部を先に貯めておく楽しみができるんじゃないでしょうか。
もちろん、実際にこんなペースで増えることはないし、そんなものがあれば詐欺だということや、現実的に増やせる利率も教えています。
これが普通やと勘違いしたら、それはそれで危険ですからね。
まとめ
お金をどう使うかは人それぞれなので教えるのは難しいですが、殖やす仕組みは教えることができます。
しかし、そのためには自分自身がお金の知識を持っていなければなりません。
お金がお金を生む仕組みがあるということを理解すれば、ただ仕事をして給料を貰うだけがお金を得る方法ではないことがわかります。
お金がすべてではないですが、人生においてお金は必要不可欠であり、ないよりはあったほうがいいのは間違いないですよね。
甥っ子には500円ずつ貯めれば卒業までにこんな感じになるぞと教えた結果…
翌月からちゃっかり1,000円貯めてやがんのッ!
※ ちなみに初月500円、それから毎月1,000円を卒業まで貯めた場合、積立額23,500円に対して最終的には約92,000円になります。高3の3月は利息だけで約8,000円…
お、俺の金がなくなるわ!!


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