荻原博子「投資なんか、おやめなさい」を読んで。タイトル変えた方がいいと思った件。

テレビなどでお馴染みの経済ジャーナリスト・荻原博子さんの書籍「投資なんか、おやめなさい」を読みました。

投資嫌いの日本人には受けの良さそうなタイトルですが、投資をしている側からすると

何言ってんだコイツ

と思ってしまいます。

しかし内容も知らずに非難するのはフェアじゃありませんので、とりあえず読んでみようじゃないかとまんまと印税収入に加担するハメになりましたが、結論を先に言うと…

保険なんか、おやめなさい」に改名したほうがいいんじゃね?

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全体的には良心的

この本に書かれている「投資」は株式以外にも、保険や外貨・債券など対象は様々です。それらを売りつける際のセールストークに対して、「○○だから手を出さない方がいい」という形で、なぜダメなのかを解説してくれています。

これに関しては概ね賛同できる内容も多く、基本的には営業マンの口車に乗せられないようにするために知っておいて損はないものでした。特に保険や投資信託は一番身近な金融商品ですから、これからの生活に関わってくる可能性も十分あるはずです。

自分が損をしないためにも、これらについてはよく理解しておくべきだと思います。

共感できないポイント

人間ですから当然、考え方にも違いはあります。そして僕がこの本の内容で、イマイチ共感できなかったことがいくつかあります。それが以下に関する内容。

  1. ドルコスト平均法
  2. 確定拠出年金
  3. 「投資」そのもの

ドルコスト平均法

荻原博子さんは、ドルコスト平均法は「愚の骨頂」だと断言しています。

ドルコスト平均法とは、投資において定期的に一定額を買い続けることです。そうすることで株価が高いときには少なく・安いときには多く株を買えるので、平均取得単価が均されるようになります。

例えば、ある株を株価に関係なく毎月1万円ずつ購入します。

1月は株価が1000円なので10株、2月は800円なので12株(端数は考えません)買えることになります。2か月分の合計では22株となり、投資額は2万なので1株あたりの取得単価は2か月目には909円となります。(2万円÷22株)

3月からも同じように買い続け、5月に買い始めたときと同じ株価に戻ったとします。するとそれまで安い単価で株数を買えていたので、同じ株価に戻っただけなのに株価は平均取得単価より高くなっています。

1株あたり153円高くなっているので、153円×59株で約9000円の利益が出ています。

というのがドルコスト平均法をおススメする際の一般的なセールストークになります。これには一理ありますが、ドルコスト平均法も決して万能ではありません。

ドルコスト平均法が通用するのは、あくまでも「株価が上昇する場合」です。逆に株価が下がり続けた場合、上図では3月の時点では持ち株数が増えることで損失も増えていきますね。

その後に上昇すればいいですが、下がり続けた場合により大きな損を出すことがドルコスト平均法の弱点でもあります。しかし荻原博子さんがドルコスト平均法に異を唱えているのは、これとは少し違う理由でした。

その理由を以下のようにおっしゃられています。

投資というのは、安く買って高く売るから、手数料を払っても儲かるのです。

なるほど、ごもっとも!!

と思った方は、営業マンのセールストークに騙される可能性が高いでしょう。そもそも安く買って高く売ることが簡単にできるなら、今ごろ世界中が大金持ちで溢れています。

例えば2016年末の日経平均株価は年初の数値を上回ったにもかかわらず、利益を出せた個人投資家は4割程度だったそうです。この数字が正しいかどうかは知りませんが、多くの個人投資家が損をするのは「高く買って安く売っているから」です。

株価は上昇しているのに半分以上が損をしているって、恐ろしくないですか?

人は利益を上げるよりも損失を出すことを恐れます。

暴落こそが利益を上げる絶好の機会だと分かっていても、いざ含み損が増えていくと恐怖に耐えられずに売ってしまうのです。(分かっていない人もいるでしょうけど)

実際、僕も日本株に投資をしていた2016年の始めから続いた下落相場で、一時100万近くの含み損を抱えたときはどこか遠くの街へ行こうかと思ったものです。(嘘)

そこでこれ以上損をしたくないと思って売る人が、株で最も負けるタイプの人であるということを多くの人は知りません。

荻原博子さんの言い分では上図の場合、6月には株を買うのは愚か者ということになるでしょう。しかしその後も株価が上がり続けたとしたら、利益を上げるチャンスをみすみす逃す機会損失になります。

もちろん「株価が上がったら」という条件付きですが、そもそも現時点の株価が高いか安いかなんて、ほとんどの場合分からないのです。上がるかも知れないし、下がるかも知れない。

それを事前に僕たちが察知することは、短期的にはたまたま思ったようになるかも知れませんが、長期的には不可能であって、荻原博子さんの言う方法を実践することは現実的ではありません。(投資の天才を除いて)

だからと言ってドルコスト平均法が最強とも言えませんが、どのようなスタイルも一長一短があり、愚の骨頂などと言い切ることは自分の無知をさらけ出しているように思えます。だって株価が上昇し続けるものがあれば、ドルコスト平均法で十分なリターンが得られるんですよ。

上昇し続けるものなんかあるのかと思うかも知れませんが、今後も人口が増える限り世界経済は成長を続けます。

短期的にはその限りではありませんが長期的にみたときそれは間違いなく、その成長する世界全体に分散投資をしていれば、多くの人にとってドルコスト平均法はベターな投資法になるはずです。

そして投資では最高のパフォーマンスを目指すより、最悪の結果を防ぐことが重要なのです。

確定拠出年金について

(企業型)確定拠出年金については「企業と政府と金融機関の思惑によって開始された」という話にはなるほど、と思う部分がありました。

アメリカの401kは従業員が掛金を拠出し、企業と政府がそれを援助する制度というのも初めて知りました。日米で金融リテラシーの差が出るのも必然ですね。

2017年から個人型確定拠出年金に専業主婦も加入できるようになりましたが、専業主婦にはメリットは薄いという話も同意できます。掛金が全額控除されますが、そもそも専業主婦は税金を支払っていませんからね。

メリットは運用益が非課税というだけになります。それなら別に個人型確定拠出年金でなくても代わりがありますから、わざわざ資金が拘束される制度を利用する必要はありません。

同じく2017年から公務員も加入できるようになったことも、年金が実質4階建ての仕組みになって優遇されていると言及されています。

これらについては特に異論はありませんが、最後に「加入しなくて済むなら入らなくて良い」とおっしゃっていることにはあまり共感できません。

節税効果と運用益非課税効果は間違いなく大きなメリットがあります。

企業型確定拠出年金がある人は加入せざるを得ないので仕方ない、とも言っていますが否定ばかりせずに、投資に関しての正しい知識・情報を発信することが重要なんじゃねーのって思います。

「投資」そのもの

この本の内容やネットなどに上がっている荻原博子さんの話を見聞きしていると気になることがあります。

それはそもそもこの人自身、投資に対する認識が誤っているということ。荻原博子さんが言うのは基本的に「投資」ではなく「投機」です。

先ほどのドルコスト平均法の際にも書いたように、投資はタイミングを見計らって売買するものという発言からも明らかです。長期投資を疑問視する際にも、なぜか日本株だけの話しかされていません。

米国へ目を向ければ、長期的に右肩上がりの成長をしているのは誰が見ても分かることです。それが今後も続くかどうかは誰にも分かりませんけどね。少なくとも、長期投資に言及している内容はちょっと薄っぺらいなと感じました。

実際のところはどうか分かりませんが、個人的には荻原博子さんは投資に詳しくない人と同様、株は上がるか下がるかという投機的な考えをしているように思います。

自身で認めた投資=ギャンブル

読んでいるうちに以上のことを感じた(特に最後の投資に対する認識が違う)わけですが、本の最後にこのように書かれていました。

私は昔から、皆さんにはあまり「投資」をお勧めしてきませんでした。

けれど、私自身は40年近く様々な「投資」をしてきました。

それなのに、なぜ皆さんにお勧めしないのかといえば、「投資」=「ギャンブル」ということを、身銭を切って学んできたからです。

「ギャンブル」というのは、余裕がある人がやるもので、普通に働いていたら失ってもいいお金などそれほどないはずです。

ほら、もう「投資=ギャンブル(投機)」と自分で言っていますからね。確かに株式投資は不確定要素が多く、どれほど過去に学んでも正しいやり方というのは存在しないかも知れません。

そういった意味では「ギャンブルではない」とは言い切れませんが、少なくとも米国株や世界へ分散した投資を長期的に行えば、限りなくギャンブルとは違うものになるはずです。

投資におけるリスクとは、値動きの幅(不確実性)の大きさを意味します。リスクが大きいということは、値動きの幅が大きいということ。その意味でのリスクとしては、長期投資ではハイリスクとなります。長期間で見れば値動きの幅自体は大きいからです。

しかし一般的に使われるリスクは「危険性」という意味合いが強いです。そしてその意味でなら、長期投資はリスクが低くなることは知っている人は知っていることでもあります。

投資の世界で使われるリスクは大きいけど、危険性という意味でのリスクは低い

ややこしいですね。でもこれが真実です。株式への長期投資こそが、誰もができて誰もが結果を残せる可能性がある唯一の投資法だと、僕は思っています。

まとめ

投資なんか、おやめなさい」では、日本人が詳しくない保険・投信・金・マンション・個人年金に関して突っ込まれています。

投資そのものに関してはちょっと納得できない面が多いですが、保険やあくどい投信に関しては騙されないために知っておくべき内容になっているので一読の価値ありだと思います。特に保険は多くの人が勘違いしていることが多いですからね。

最後に、感想を一言でまとめます。

「荻原博子さんのいう投資の話なんか、真に受けるのはおやめなさい」

おしまい。

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