投資初心者に株主優待をおすすめしない理由

アイキャッチ株式投資

株主優待は、株を保有しているだけで企業から様々な優待を受けることができる日本独自の制度だ。

初心者が投資を始めるきっかけとして株主優待をすすめる人もいるが、僕は資産形成を目的とした投資をしたいと考える人には、株主優待をおすすめはしない。

その理由と、投資初心者におすすめできるものを解説していこう。

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株主還元と株主優待

株主優待とは、株主還元の一種である。

カブヌシカンゲンってなんや?

まず、株式投資とは企業へ出資をすることであり、企業は株主が出資してくれた資金で事業を行い、そこで得た利益を株主に還元することで、株主と企業はwin-winの関係が成り立っている。

利益を株主に還元する方法が株主還元ということだが、その方法は主に配当金の支払い自社株買いで、株主優待は日本独自の制度だ。

配当金は企業が得た利益の一部を還元し、自社株買いは1株の価値を高めるため、既存株主にとってメリットがある。

一方、株主優待はどうだろうか。確かに株主にとっては何らかの特典があるので、一見メリットがあるようにも思えるが…そもそも企業が株主優待を設定するのはなぜだろうか。

企業が株主優待を設定するメリット

企業が株主優待を設定するメリットには、株主を増やして敵対的買収を防ぐことや、株価の下支え自社製品の良さを知ってもらうことなどがある。

企業が発行する株式を一定数保有すれば、その経営権を握ることができる。そのため、より多くの株主に少しずつ保有してもらうほうが、買収されにくくなると言えるだろう。まぁ個人投資家が与える影響がどれだけあるか?という気もするが。

株主優待があれば、株価が下がっても優待があるからと売却する人が減り、結果として大幅な値下がりがしにくい。もちろん、下がるときは下がるが。

マクドナルドや吉野屋などは食事ができる優待券がもらえるので、少しくらい業績が悪くなろうと株価が下がりにくい傾向があるのは事実だ。

また、自社製品なら配当では1,000円しか出せない場合でも、原価率によって1,500円相当の製品を贈ることもできる。ただし、梱包や発送の手間賃もかかるため、企業にとっては負担となってしまう可能性も考えられる。

このように、企業にも株主にもメリットがあるのは確かだが、長期投資家にとってはメリットがあるとは言えないのだ。

株主優待は長期投資家にとっては非効率

株式投資の書籍には、投資初心者に「投資の入り口として株主優待のある企業を選んでみては?」という内容も多い。

さらに、株主優待は権利日と呼ばれる日に株を保有していれば受け取れるため、権利日の前に買い、権利日が過ぎれば売るという手法をすすめる記事も見受けられる。

株主優待は、大口投資家より小口投資家が優遇される傾向があるので、その企業の将来性を信じてコツコツと積み立てて株を買っているような人が損をする制度なのだ。

とある企業の株主優待(食事券300円分)を見てみよう。

  • 100株…10枚
  • 1,000株…20枚
  • 2,000株…40枚

100株しか保有しない人は1枚あたり10株で優待が貰えるが、1,000株と2,000株の人は1枚あたり50株必要だ。

これでは多くの株を保有するより、100株だけ買って優待を貰おうと考える「エセ投資家」が増えるのも仕方ないだろう。

1,000株保有している人は、100株しか保有していない人より10倍出資しているのに、優待の恩恵は2倍しかない。

なんとも理不尽である!

このような関係性は、どこかの業界とも似通っていると思わないだろうか?

そう、通信業界である。スマホでも長期契約者には何のメリットもなく、新規加入者ばかり優遇される業界だ。

新規加入者を優遇するための費用は、間接的に長期契約者が負担していると言っても過言ではなく、株主優待も同じ。優待目当てのエセ投資家のために、長期投資家は利益を削られていると言えるだろう。

優待目当ては投資ではなく投機(ギャンブル)

株主優待を目当てに株を買うことは、投資ではなく投機だ。

投機とは、分かりやすく言えばギャンブルと同じ。優待目当てで投資をする人が増えるほど、企業の本質的な価値は見えづらくなり、株価に歪みが生じる。

権利日の直前に購入し、権利日が過ぎれば売却する。こんなやり方は、下手すれば優待以上に株価の値下がりで損をすることもあるだろう。そんなものにイチかバチかで取引をすることを投資だと発言する輩には、さすがに呆れてしまう。

企業も株主優待のために投資している人が多いことは理解しているため、多少の業績悪化では優待を廃止することはできない。優待を廃止したら、株価が暴落するのが目に見えているからだ。

しかし、そうm言ってられない状況になれば優待は廃止されることがある。そのとき、優待目当てで株を保有している人はどうするだろうか?

もちろん、優待のなくなった企業の株なんて持つ理由がないので、叩き売りだ。その結果、やはり株価は大暴落する。

2019年4月には、ファミレスのココスが業績不振から株主優待(年間2,000円の食事券)を廃止すると発表した。すると、それまで約2,200円だった株価は一気に1,600円まで急降下。日本では100株単位で取引するのが基本なので、(売却すれば)損失は6万円にも及ぶ。

たかだか年間で2,000円の食事券を受け取るために、大きな代償を払った「自称」投資家も多かっただろう。

株主優待は、自社製品以外にもクオカードやお米などを配る企業も多く、もはや企業となんの関係もないことも多い。ふるさと納税といい、日本は目先の利益ばかり見て、物事の本質を考えない人が多すぎると思うのは、僕だけだろうか。

日本と米国企業の考え方の違い

日本企業は、会社は社長や従業員のものという意識が強いと言われており、米国企業は会社は株主のものという意識が強いと言われている。

そのため、米国では株主も企業がどれだけ自分に利益を与えてくれるのかを重視し、企業もまた株主のために利益を上げようとする。

米国では配当金を年々増配している企業が多く、25年以上連続で増配している企業を「配当貴族と呼び、50年以上連続は「配当王と呼ぶ。

米国には配当貴族が100社以上あるのに対し、日本では花王の1社だけ。25年以上連続ということは、リーマンショックなどの暴落時でも減配することがなかったということだ。

一時的に業績が悪化したとしてもすぐに減配することなく、株主に還元していくことで信頼を得る。そうすることで株主も企業をすぐに見放すことはなく、長期的には良い結果を生んでいるのではないだろうか。

また、配当は1株あたり〇円(ドル)という形で支払われるため、優待とは違って保有株数による優遇・冷遇もなく、フェアな還元策である。と言ってもそれが当然だろう。

日本企業が株主優待で株主を引き留めようとするのは安易な考えであり、事業内容で株主を魅了していかなければならない。優待につられる自称投資家も、何のために投資をするのかを良く考えたほうがいいだろう。

何のための投資か

株主優待で食事をする、株主優待で映画を観る、株主優待で自社製品を貰う。

このように、株主優待は短期的な利益を優先する行為と言える。そして、それは先ほども言ったように、一歩間違えれば大きな損失を被る可能性を秘めているのだ。

株式投資は本来、企業の成長を長期的な視点で考え、経済の拡大とともにその恩恵を受けるするために行うものだ。決して優待でお得な生活をするためではない。

親の莫大な資産を相続できる人は別だが、僕のような庶民が資産形成をしていくには、還元された利益(配当)をすぐに使うのではなく、それを再投資することが重要だ。

時間はかかるが、配当を再投資することで複利効果によって資産が増えていく。しかし、株主優待は再投資することができないので、複利効果も何もない。

もしあなたが資産形成のための投資をしたいと考えるなら、株主優待なんかに目を向けず、株主還元の意識が強い米国株へ投資するほうが効率的だ。

米国株なら、個別の企業ではなく国全体へのインデックス投資をするだけで、いずれ大きな資産を築くことができるだろう。

まとめ

投資の初心者が投資に触れてみるきっかけとして、まずは株主優待から始めましょう!というのは、僕は本人のためにならないと思うのでおすすめできない。そもそも、優待廃止による損失を被るリスクを取ってまで、その優待は必要なのだろうか?

リスクを取って優待券でハンバーガーを食べるより、食べたいと思うときにお金を払って食べるほうが結局はお得でした…なんてことにならないように気をつけよう。

投資初心者だからといって、資産形成では不利になることはない。コツコツと長期・分散・積立投資を実践していくだけだからだ。

そのために難しい知識などいらない。

ただ、なぜそうすることで資産形成ができるのか?ということを理解することは重要なので、そのための勉強は欠かさないでいただきたい。

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